キジログ@愛

キジちゃんがその隠しきれないバード愛について語るブログ

筋トレ報告(文学)

筋トレBUNGAKU

 僕は三十七歳で、そのときレッグエクステンションのシートに座っていた。*1

 毎週木曜日は会社を定時退社しジムで汗を流すことが今では僕の習慣になっている。

 若い頃から仕事に追われ続け、気が付いたら僕は30代になっていた。若い頃は気にもかけなかった体型は、仕事に傾けた熱量と比例するかのように暑苦しいものとなっていて、それはまさに中年と呼ぶに相応しい醜悪なものだった。

 ある夏の日。灼熱の太陽が大地を焼き尽くさんばかりに照りつけていたあの日。テレビでは髪を綺麗に巻いた女性アナウンサーが「熱中症に注意するように」と冷房の効いたスタジオから無表情なまま何度も呼びかけていた。僕は自室のソファに座り、レコードでロッシーニのオペラをかけながらジャックダニエルを傾け、大型の液晶画面に映るアナウンサーの艶やかな巻き髪を黙って見つめていた。

 その日は外出の予定があったので、僕はお気に入りのタンクトップを着て外へと出た。玄関のドアを開けた瞬間からうだるような熱気が僕の体を包む。「やれやれ、不快だな」僕は辟易した。この外界のあまりの暑さに。あくまでも輝くことをやめない太陽が、露出した僕の両肩を激しく焼き付けた。「まったく。こんな日に外出しなくてはならないなんて」僕はこんな夏の暑さが嫌いなような気もするし、好きなような気もする。あるいはその両方なのかも知れない。だけどその本質は誰にも分からないのだ。本人であるこの僕にさえも。

 それはとても涼しく、強い衣服だ。このタンクトップは僕のお気に入りだった。だが中年の弛んだ身体にそれが「似合う」と言うのはとても難しい事だった。まるで子供が描いたキリンの絵に五万円の値札を付けるように。タンクトップを着用した僕の姿は、殆どたまのドラムだったと言える。そのような思考を巡らせながら、いつしか僕は目的地に着いていた。そのとき僕の口が二酸化炭素を吐き出しながら不意に言葉を発したのだ。「着いた」

***

 或いは、私は自らの腹に対し既に限界を感じたので在ろう。故に私は、最近巷に於いて流行して居ると謂う運動施設に通う事にしたのだ。思い起こせば先日受診した健康診断の結果を鑑みても、私の身体状態を顕す数値は悉く如何にも怪しげな欄に位置して居り、これは則ち健康診断財団から私への非情な通達であって、暗に「貴公の健康が今現在損なわれつつ在ります。定期的な身体運動を行なう事、又、過度な栄養摂取を控えられます様に。然も無ければ死にます」と謂った内容の脅迫染みた宣言でも在るのだ。

 事実として、私は近年自身の身体を異様に重く感じて居り、鏡に映る自らの外見に於いても、腹囲に蔓延る脂肪とか謂う厄介な悪物質も日増しに増して居る様に思える。元々然程の健啖家と謂う訳でも無いが、食したい物を食し、一切の運動はせず、休日は居間にて寝転び、等と云った生活をもう何年も続けて居たもので在るから、この結果は然もありなん、至極当然で或るとそう自らに認めざるを得ないのである。

 人生は健康で在ってこそと謂うのは先人達の経験に即する至言で在ろう。私は内心に眇眇成ら去る動揺を隠し持った侭、その運動施設の敷居を跨いだので在った。

***

「月に1万円もかかるなんてボッタクリじゃねーのか?」

 ジムの受付の女に俺は言そうってやった。

「しかしお客様・・・」

 女は困った顔をしていた。もうちょっとイジめてやろうと俺は思った。

「マシーン使ったって重りが減るワケじゃねーだろ?そこんとこどうなのよ?」

 女はさらに困った顔になった。へへっ、してやったぜ。だがイジメるのはこの辺にしといてやろう。俺は急にやさしい顔になって女に言った。

「じゃあ入会してやるよ。そのかわりキミのLINE教えてくんない?」

 女は一瞬だけよろこんだ顔になったが、でもまたすぐに困った顔になった。

「ジョーダンだよ!はやく契約書もってこいよ!」

  最近の若い女はジョークも通じないんだな。困ったもんぜ。と俺は思った。

 ともあれ俺はこうしてジムに通う事になったのである。

***

 中年になり健康を心配した私はスポーツジムに通う事にしたが、ジムにはいろいろなマシーンがあったので、その中から私はまずバーベルを使ってみることにした。使い方が分からなかったので私はジムスタッフの女に声をかけた。

「これはどのように使うのですか?」

「はい。これはこのように使うのです」

 スタッフのN女史は器具の使い方を的確に私に教えてくれた。彼女はスタイルが抜群だった。普段からさぞ鍛えているに違いないと思い、私は彼女にこう尋ねた。

「あなたはとてもいい身体をしていますね。いつも鍛えているのでしょう」

「はい。私はとてもいい身体をしています。いつも鍛えています」

 私はバーベルを手にかけたが重すぎて持ち上げられなかったので重量をもっと軽くしてくれるよう彼女にお願いをした。

「重量をもっと軽くしたいのですが」

「はい。では重量をもっと軽くします」

 N女史は20kgの重りを片手で軽々と持ち上げ、代わりに10kgの重りをバーベルにセットしてくれた。

 バーベルが適度な重量になったので私はトレーニングを再開した。この調子で鍛え続ければ私も彼女のようにスリムで美しい身体になれるだろう。それにしても彼女は完璧なAIロボットだ。何を聞いても的確に答えてくれるし、それにちょうど私が魅力的に思う体系に設計されている。最近ではAIロボットと結婚する人類も増えていると聞くが、はたして彼女も私と結婚してくれるのだろうか。私は思い切って彼女に尋ねてみた。

「私と結婚して頂けませんか」

「いいえ。それは出来ません。私はこのジムに三年以上通ったお客様からしか求婚を受け付けられないようプログラムされているのです。お客様の場合はあと1094日ですわ。頑張って下さい。」

 そう言うと彼女は口角を上げ、私に笑顔を見せた。AIロボットとはいえやはり女性は厳しいものだ。一定額以上の会費を支払わないと求婚を受け付けないと言うのだから。

***

 本日は小生が最近通い始めたジム内にいる女の子についてレポートしていきます。彼女の名前はいまだ判明致しておりませんが、当レポートを書く上では便宜上、小生の初恋の人のお名前を拝借し「さちこ」さんと呼ばせて頂きますのでご承知起き下さい。

  • ルックス★★★★☆
    さちこさんは小生が大変好むタイプのメガネ女子です。欲を言えばもう少しロングヘアーであれば満点でした。目の形は好みですが、さちこさんは鼻筋が若干だらしない印象です。しかしノーチェンジのラインは十分に上回っており満足のいく及第点であると言えます。相対的に見ればジム内では上々のレベルであります。

  • 接客姿勢★★☆☆☆
    使い終わったマシーンの汗を丁寧に拭き取る姿勢は昨今の若い女の子にしては褒められたもの。しかし小生としてはその必要性は感じません。むしろ若い女の子に関しては汗を拭き取って頂かない方が好ましいと考えています。そんな小生の心を知ってか知らずかさちこさんは必ず汗を拭き取るので、当項目は大幅に減点とさせて頂きました。

  • テクニック★★★★★
    アブドミナル時の前屈チラや、アダクション、アブダクション時の開脚・閉脚プレイには目を見張る物があります。流石の小生も興奮を隠しきれないプレイ内容です。気になる体型(※後述)をも凌駕する珠玉のテクニック。文句なしの★×5です。

  • スタイル★★☆☆☆
    さちこさんの体型は小生の好みから少し外離れております。正直に申せばもう少しヒップに締まりが欲しいと思いました。全体的にだらしなさが目立つ体型ですが、しかしそのような体型の方が好みと仰る男性諸氏もいるものと考えます。ただし小生の主観では★×2という事です。

  • システム★★★☆☆
    月額1万円程度の会費制。一般的な水準。可も無く不可も無く。

  • 受付対応★★★★★
    スポーツウェアのお兄さんが笑顔で対応してくれます。スタジオプログラムのご指名制度を紹介してくれるなど、全体的にスタッフの質が高く安心感がある。さらには会員証を示せば指名料が毎回無料になるのも高評価です。

  • 総合評価★★★★☆
    さちこさんは毎週木曜日の決まった時間にご出勤しているので、小生もそれを狙って同時刻に出勤しております。常連である小生をも飽きさせないプレイを毎回堪能できます。店舗側の対応もよく、総合評価は辛口の小生にしては高めの★×4です。何度でも通いたくなる店、そして女の子であると太鼓判を押せます。以上、小生による拙いレポートにて、お目汚し失礼致しました。

 


くぅ~疲れましたw これにて完結です!

実は、最近本を読んでないなと思ったのが今回のネタの始まりでした

本当は話のネタなかったのですが←

思いつきを無駄にするわけには行かないのでそのままのネタで挑んでみた所存ですw

以下、さちこからみんなへのメッセジをどぞ

さちこ「みんな、見てくれてありがとう
ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」

さちこ「いやーありがと!
私のかわいさは二十分に伝わったかな?」

さちこ「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいわね・・・」

さちこ「見てくれありがとな!
正直、作中で言った私の気持ちは本当だよ!」

さちこ「・・・ありがと」ファサ

では、

さちこ、さちこ、さちこ、さちこ、さちこ、俺「皆さんありがとうございました!」

さちこ、さちこ、さちこ、さちこ、さちこ「って、なんで俺くんが!?
改めまして、ありがとうございました!」

本当の本当に終わり

 

 ***

【編集後記】

「たまのドラム」が言いたかったせいで内容が若干濁ったのが心残りですがもう書き直しとか出来ません。私くぅ~疲ですから。なのでそのまま上げます。直すなら公開後の暇なときに堂々と直します。

というわけで本日は以上です。
筋トレもいいんですけどね、たまには本を読むのも良いですよ。(キジちゃん)

参考リンク:くぅ〜疲れましたwとは  [単語記事] - ニコニコ大百科

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*1:村上春樹「ノルウェイの森」冒頭の書き出しを模しています。実際の私はその年齢ではありませんよ。