キジログ@愛

キジちゃんがその隠しきれないバード愛について語るブログ

年下の友達

「先輩のお陰で今の自分があるんすよ、マジで感謝してます」

そう言ってもらえる事が、私にとってどれだけ救いになる事か。

 

***

 

面接の一人目は明るく爽やかな挨拶の出来る若者だった。採用枠は一名。10名程度の面接をこなしたが結局私は一人目の彼を採用する事にした。

人当たりはいいが細かいことに注意の行かない人物。細部にまでこだわる私とは真反対の性格で、酒と遊びが大好きな野郎。ただ芯はしっかりした男だった。

彼には細かい指示を出すべきではないと直感し、ほとんどの事を彼のやり方に任せた。もともと要領のいい男で、そのやり方は彼にはまっていたらしい。相変わらず細かいことは苦手ながらも、彼は徐々に成績を上げていった。

彼の結婚式ではフリーザに扮した友人が何かしらの余興をしていたのを覚えている。頼まれたスピーチは、ただ奴を褒めちぎるというもの。その後友人から「あのスピーチ褒め過ぎだろww」と言われたそうな。

 

彼が会社を辞める時、私は本当に落ち込んだ。仕事が回らなくなるのもそうだが、彼という人物を失う事が本当にたこえた。彼が辞めてしばらくは落ち込んだ気持ちのまま働いていたのを覚えている。

全くの異業種に転職した彼だが、現場が近いとのことで先日うちの会社に顔を出してくれた。

「キジさん今度飲みに行きましょうよ」

そんなセリフ、大抵は社交辞令なのだが、奴は本当に誘って来たのだ。

 

そして今日。久し振りに奴と酒を飲んできた。相変わらずのノリ。軽くて要領のいい感じ。あくまでも私を立てようとする態度。

当たり前だが奴の今の会社はうちにいた時よりも給料はいい。それを聞いて私はとても安心した。彼が彼の人生を彼自身の責任において全うしている。それが私には嬉しかった。人を採用することは、その人の人生に対する責任を受け入れることだと、私はそう思っている。だから今の彼がより良い環境にいられる事が私には嬉しく感じられた。

 

早いもので娘さんはもう2歳になったらしい。毎日自分がお風呂に入れてるんスよ。どうやらうまくやっているみたいだ。

彼に対し責任を負う必要のない今の私は、ただ彼の幸福を祈った。ただの理想論かも知れないけど、私は私に関わった全ての人に幸福になって欲しいとそう思っている。

ほんの僅かかも知れないが、私は彼の人生に影響を与えた。それに対し感謝をされた。仕事人としてこんな幸せは他にないのではないだろうか。

 

「次は忘年会スね。また誘いますよ。」

そう言い残し笑顔で去って行ったあいつは、私の年下の友達。(所要時間20分)

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